不妊症と漢方
正常な夫婦生活をしていて2年以上経っても子供が出来ない場合を不妊症と言います。不妊症の原因としては、男性に問題がある場合が約40%、女性に問題がある場合が同じく40%と言われています。男女両方に問題がある場合が15%です。漢方では男性側、女性側、ともに治療の対象としております。
西洋治療では、昨今、人工授精や体外受精が勧められています。体外受精では、通常15%前後の妊娠率が、約25%に上昇するとされています。しかしながら、これが役立つのは不妊の原因が受精そのものにある場合だけです。受精以外の部分に問題がある場合はどうでしょう。
漢方治療の場合、卵子や精子の質、あるいは子宮内の環境自体に注目して治療を行うことが多いです。卵子や精子の質が悪い場合、例え受精が成立したとしても、その後の発育に影響がありますし、受精卵の発育には良い子宮環境を整える必要があります。
ところで、漢方では不妊の原因として「瘀血(おけつ)」と「虚労」が挙げられています。瘀血とは月経血の滞りです。瘀血の有無は腹診によって確かめられます。瘀血は駆瘀血剤(瘀血を除く剤)によって駆逐されます。瘀血が除かれると不妊が解消されるだけでなく、健康や美容にも良い結果が得られます。健康な赤ちゃんが得られます。
次に、不妊の原因として、大いに挙げられるのが虚労です。これは女性だけでなく、男性不妊にあっても、その殆どが虚労に根ざしていると言えます。これはつまり、精子と卵子の結合という生命の初発に当たって、太陽の大いなる陽(気・エネルギー)が不足しているということです。「即応補陽」によって解決されます。
不妊の原因として、「瘀血」と「虚労」が併存していることがあります。この場合は、瘀血の駆逐と即応補陽を併せ用いることによって、目的が達成される例が少なくありません。何れにしてもこの問題は、自然体の漢方治療が良いことは言うまでもありません。
腎陽虚
月経周期が長いもしくは無月経、濃い月経血色、下腹部が冷えてる、性欲の減退、不感症、下半身がだるいもしくは力が入らない、排尿が近い、等
気血両虚
薄い月経血色で小量、手足の痛み、ふらつき、眩暈、痩せ、耳鳴り、乳の出が悪い、等
肝腎陰虚
目のかすみ、中耳炎、痴呆、血便、痛風、リウマチ、吐血、甲状腺の腫れ、尿漏れ、等
肝鬱気滞
月経周期の不安定、生理痛、乳房の張り、脇腹の張り、イライラ、無気力、等
痰湿
体のむくみ、手足の冷え、脱力感、静脈瘤、など
湿熱
月経周期が短く量が多い、月経色が深紅、腹部が張るもしくは痛み、小便が出づらい黄色い、倦怠感、足がだるい、等