漢方の治療
先端漢方─即応補陽の展開
易経に「陰多くして陽少なし」とあります。陽気がいまひとつ足りないために、運勢が開けないことを言ったものです。
実は、病気のを治すにも、生命力の衰えから回復させるのも同じことなのです。陽気がいまひとつ足りないために、治る病気も治らないし、まだまだ生きられるのに、虚(むな)しくなってしまうのです。
そこで漢方には補陽という治療法があります。不足の陽気を補うことです。この目的のために、数多の薬方が用意されています。
こうした、現代医学とは次元の異なる、陰陽という理法に基づく対応によって、一進一退や行き詰まりの治療を、打開することができるのです。
然(さ)りながら、喘息や心臓病における致命的な発作が気遣われる状態や、がんなどの消耗性疾患や老衰に見られる体衰気弱の甚だしい状態は、陽がゼロ寸前の「亡陽」の現象です。
こうした、生命力の衰えやその危うきに、医療はどう対処しているのでしょう。現代医学では薬物のほかに栄養補給や、必要があれば輸血ということになります。上記の漢方の補陽を含めて、いまひとつ決め手に欠けるのが、東西両医学に共通の盲点と言えます。
そこで、先端漢方の一つの展開として、即応補陽があります。「即応」とは、「陰多くして陽少なし」の生命力の衰えに対してはもとより、さらには、「亡陽」の生命の危急にも対応できるの意です。