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漢方コラム

生命力の衰え─虚労(きょろう)

いつの日にかあなたも虚労に

 

「虚労」とは漢方の用語で、読んで字の如く、心身が虚し、労(つか)れている  生命力の衰えを言います。似て非なる語に「疲労」がありますが、これはただの疲れであって、一晩寝れば取れてしまいます。ところが、虚労となるとそうはまいりません。いくら休んだとて、休養で治るものではないのです。

 

なぜ? と言うに、虚労は特定の臓器や器官の機能減退に基づく生命力の衰えなのです。たとえば、漢方で「脾胃(ひい)の虚労」と診断することがよくあります。消化器系統の機能減退に基づく生命力の衰えです。

 

同じく、「心肺(しんぱい)の虚労」と言えば、循環器や呼吸器系統の機能減退に基づく生命力の衰えです。

 

同じく、「腎(じん)の虚労」と言えば、ご老人に少なからず見られる、泌尿器系統の機能減退に基づく生命力の衰えです。

 

虚労には、その拠(よ)って来たる臓器や器官によって特有の症状があるので、それと知ることができます。また、すべての虚労に共通の症状があります。「体衰気弱」がそれです。体力の衰えと共に気力も弱まるものです。ただし「気弱」は特に無くとも「体衰」があれば、それは病名などに関わらず、虚労であるこを物語っています。

 

もう一つ、虚労であることを物語る共通の症状に「低体温」があります。体温は一日の中で変化しますが、正常体温は起床時で36度以上。ピークは昼から三時頃までで36度7〜8分。就寝時は起床時近くになります。以上に達しないのは、低体温  虚労が垣間(かいま)見えます。

 

次いで、先に言った虚労の拠って来たる、特定の臓器や器官の機能減退による、特有の症状について述べます。

 

消化器系統の虚労は、生まれつき体質的に胃腸が弱い。疲れやすい。意欲に乏しい。食味がない。食欲がない。熱いものを好む。口中に白沫(つば)がたまる。言語に力がない。眼に勢いがない。みぞおちから臍(へそ)に当たって動悸する。脈に力がないか弱くて触れにくい。手足がだるい。夏負けする。といったことがあります。

 

呼吸器系統の虚労は、風邪を引きやすい。引くと長引く。扁桃腺やリンパ腺が腫れやすい。咳が出やすい。胸苦しいことがある。口が苦い。食欲不振。寒さに弱い。皮膚がうす黒い。小児喘息がある。といったことがあります。

 

循環器系統の虚労は、口が燥(かわ)きがち。皮膚が乾いてカサカサした感じ。ときにのぼせる感じ。息つきが熱い。動悸する。息切れする。脈が結滞する。といったことがあります。

 

腎・泌尿器系等の虚労は、疲労倦怠感がある。排尿の異常(頻尿、多尿、尿の出しぶり、尿の切れが悪い、失禁、尿閉など)がある。足が冷える。煩(ほ)てることもある。浮腫。口が燥きがち。下腹部が脱力、押すと真綿を押すように軟らかいか、反対にすじ張っていることもある。腰痛がある。といったことがあります。

 

以上のような症状の有無を、問診、脈診、腹診で確かめることによって、虚労であればそれが何に由来するものなのかを、知ることができます。

 

何れにしても、生命力の衰えは生まれつきから終末期まで、不慮の事故などで亡くならない限り、早ければ幼少児から、遅ければ老年期になっての、生涯の何れの時期にか見舞われることになります。こうした意味で虚労は、人生最大の命題である「生・老・病・死(しょう・ろう・びょう・し)」の四苦の要因であると言えます。

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